過敏性腸症候群(IBS)は、大腸に機能的な異常が生じる慢性的な疾患です。原因は明確ではありませんが、ストレスや食生活、腸内細菌のバランスが関与するとされています。主な症状は、腹痛、腹部膨満感、下痢や便秘の繰り返しなどです。IBSは、生命を脅かす病気ではありませんが、生活の質に大きな影響を与えます。治療には、食事療法、生活習慣改善(運動療法)、ストレス管理、薬物療法が用いられます。症状を軽減するために、トリガーとなる食物を避けることが重要です。
過敏性腸症候群(IBS)の治療は、症状の緩和と生活の質の向上を目指します。主な治療法は以下の通りです。
食事療法
特定の食物(脂肪分、カフェイン、香辛料を含む食品アルコール、乳製品、ガスを発生させる食品など)を避けることが有用とされています。また、低FODMAP食(発酵性オリゴ糖、二糖類、単糖類およびポリオールの摂取を制限する食事)が効果的とされています。
運動療法
適度な運動は推奨されます。
ストレス管理
ストレスが症状を悪化させるため、リラクゼーション法、認知行動療法(CBT)、マインドフルネスなどのストレス管理技術が有効です。
薬物療法
1.病型にかかわらない初期治療
a.ポリフル:高分子重合体で便の固さをちょうど良い状態にします。
b.トリメブチンマレイン酸塩:消化管運動機能調整薬。
c.ビオスリー、ミヤBM:プロバイオティクス
2.下痢型IBS(IBS-D)
a.ロペラミド:下痢の頻度を減らすために使用されます。腸の運動を抑えることで効果を発揮します。
b.抗コリン薬:腹痛や痙攣を和らげるために使用されます。
c.ラモセトロン:下痢型の過敏性腸症候群に効果があります。
3.便秘型IBS(IBS-C)
a.ルビプロストン腸の動きを促進し、便を柔らかくすることで便秘を改善します。
b.リナクロチド:腸の液体分泌を増加させ、腸の動きを促進します。
4.抗うつ薬、抗不安薬
a.タンドスピロン:セロトニン作動性抗不安薬
b.パロキセチン:選択的セロトニン再取込阻害剤